カルパ・スワミ神と<クシャ草>1/5

◆カルパ・スワミ神の誕生
※南インドはタミル・ナードゥ州に住む人々の間で伝承されてきた、インド神話のひとつです。  

古代インド、(ヴィシュヌ神の化身である)ラーマ王は、国民の間にシーター妃の貞操を疑う声が生じると、  身重の妃を独り森へ追放しました。  シーターは、聖仙ヴァールミーキの草庵に身を寄せ、 双子の男の子、ラヴァとクシャを産みました。 ある日、シーターはヴァールミーキ仙に赤子の世話を任せて出かけました。 しばらくしてシーターが戻ると、ヴァールミーキ仙が瞑想をしていたので、 シーターは邪魔をしないよう、そっとクシャを連れて行きました。 瞑想から出てきたヴァールミーキ仙は、クシャが居なくなっていることに気づき、 聖なるクシャ草から、クシャに姿形がそっくりな子を作り出しました。 しかしシーターが(本物の)クシャを連れていることがわかると、ヴァールミーキ仙はシーターに、 この(クシャ草で作った)赤ちゃんも自分の子とするよう、頼みました。 こうしてシーターは、3人の子供たちを一緒に育てることになったのです。  

後に、 少年となった3人を連れてシーター妃がラーマ王のもとへ戻ったとき、ラーマ王は言いました。 「我が子よ、この火の上を横切り父の方へ来なさい。わたしの世継ぎなら、無傷で火を渡れるはずだ」。 ラヴァとクシャは、父にいわれたとおり無傷で火を渡りましたが、 クシャ草から作られた少年は、身体が燃え、黒く焦げ始めました。 その様子を見たラーマ王は、森の中で起きたことすべてを知り、クシャ草の 少年に、ラーマの守護神となるようご祝福を与えました。 神となった少年は、カルパ・スワミ(暗い色の神)と呼ばれるようになりました。

聖なるクシャ草(日本のイグサと似ています)

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