たけのこ1/3 「古事記」

「古事記」には、次のような記述があります。

黄泉醜女(よもつしこめ)に追われたイザナギは、自分の髪に刺してあった櫛(くし)を投げつけました。すると、櫛からたけのこが生えてきて、黄泉醜女がそれを引き抜いて食べている間に、イザナギは黄泉の国から逃げ帰ったといいます。

たけのこが古くから日本人の好物であったことがうかがわれますね。ただ、現在手に入るたけのこのほとんどが、中国が原産地で、当時はまだ日本に入ってきていませんでした。その頃食用としていたのは、日本に古くから自生していた真竹ではなかったかといわれています。

たけのこは旬の明確な食材で、とくに季節感を大事にする日本料理では、春の味覚として尊ばれます。孟宗竹(もうそうちく)が3月中旬~5月頃、淡竹(はちく)がそれに続き、真竹(まだけ)や根曲がり竹(ねまがりだけ)が5~6月頃に出まわります。旬となる地域は、いわゆる「たけのこ前線」となって、南の地方から北上していきます。たけのこの種類は、約70種類程ありますが、一般的な食用のたけのこは、孟宗竹のことをいいます。

たけのこ尽くしの精進料理