4/27はハヌマーン・ジャヤンティ(生誕祭)です②

◆さて、羅刹王ラーヴァナが世界を恐怖に陥れていた頃、ラーヴァナはその巨大な力を用いて9つの惑星の神々を自らの足元に置き、自分の息子が生まれるときには、すべての星を吉兆な配置にしようと企てました。ラーヴァナの足元から逃れることのできない神々は、吉兆な星の配置のもとに息子が生まれて無敵になることを恐れ、9つの惑星の神々のお一人で強大な力をお持ちのシャニ神(土星の神)に助けを求めました。シャニ神は聖仙ナーラダの助力も得て他の神々を解放し、その企てをどうにか阻止しました。しかしご自身はラーヴァナに呪われ、ランカー島の牢屋に閉じ込められてしまいました。

一方で、ラーヴァナに誘拐されたシーター妃を救出しようと、ランカー島へ向かっていたのがハヌマーンでした。ハヌマーンは、どこからともなく聞こえるシャニ神の泣き声に気づき、捕えられている場所を見つけ、シャニ神を助けようと試みました。しかし、「私に関わった者には家族をも失う苦難が訪れる」と、シャニ神はハヌマーンに忠告しました。ブラーマチャリ(禁欲の修行僧)として家族をもたないハヌマーンは、これを気にすることなくシャニ神を助け出しました。

その時シャニ神は、「これから先、恩人であるハヌマーン神に帰依する者には、わたしはどんな悪影響ももたらさない」と約束しました。また、9つの惑星の神々全員がハヌマーンに感謝して、「ハヌマーン神を崇拝する人々には、わたしたち全員の祝福も与えられるでしょう」と約束しました。

こうして、悪魔たちを殺すための10種類の武器、羽根、霊眼、9つの惑星の神々の力をすべて得たハヌマーンは、ラーマに任されたとおり、二人の悪魔を水中から引きずりだし、倒すことに成功しました。

ハヌマーンはアヨーディヤーへの帰路、静かな森で休息をとりました。使命を達成したハヌマーンは、永遠の歓喜に浸っています。それゆえ、この地は『Ananthamangalam(アナンタマンガラム)』と呼ばれています。
Anantha…永遠の、無限の
Mangalam…霊性の成就、幸福、繁栄

◆ハヌマーンの尾の中には、9つの惑星の神々がおられます。それゆえ、帰依者がハヌマーン神に祈ることは、すべての神々に祈ることに等しいとされます。神話は、『ハヌマーン神に全てを明け渡し、心から祈り続けるならば、すべての霊的知識が得られる。9つの惑星の神々に祝福され、土星の悪い影響が取り除かれる』と告げています。ハヌマーン神は、幸福と繁栄、強靭な精神と身体、霊的充足を象徴しています。

◆インドでは、キンマの葉、トゥルシーの葉のガーランド(首飾り)、ワダ(南インドのドーナツ状の甘くない軽食)のガーランド、花々のガーランド、ギー(精製バター)などと共に、蓮華の御足にクムクム(赤い粉)を大量におかけするクムクム・プージャ(礼拝儀式)などをハヌマーン神に捧げ、盛大に生誕祭を祝します。

豆から作る一般的なワダ(向かって左)
寺院のワダは平べったく、ジャリジャリしていました! 大量のワダを使い、まん中の穴に紐を通して首飾りにします。ハヌマーン神へのお捧げものとして寺院で購入できます。
ハヌマーン神にお捧げしたあとにいただいた、お花のガーランド
ハヌマーン神と9つの惑星の神々が好まれる色の布・穀物や豆