ムルガ神と<マンゴー>3/5

■マンゴー
サンスクリット名:アムラ
学名:Mangifera indica
英名:Mango
和名:マンゴー
科:ウルシ科

北部インド~マレー半島が原産地と考えられる、常緑高木。紀元前からある非常に古い植物で、インドの古典叙事詩『ラーマヤナ』や『マハーバーラタ』にも頻繁に登場します。創造主プラジャパティの顕れとされ、ヒンドゥーの儀式には欠かせない神聖な果樹・果実です。
ヒンドゥーの五種類の神聖な葉の中のひとつで、祭式を執り行う場やご神像をお祀りする場のトーラン(しめ縄)にマンゴーの葉をたくさん結びつけたり、クンバ(儀式用の神聖な水壺)にマンゴーの葉がついた小枝を刺してその上にココナッツを載せ、神々とみなしたり、儀式中に聖水を振りまくのにも葉を使用します。また、その聖なる枝木は、ホーマ(護摩)の儀式の火中にくべたり、ギー(精製バター)を火中に注ぐスプーン型の祭具にしたりします。

「果物の王者」と言われるマンゴーは、インドの一般家庭では、甘く熟したフレッシュな果実を食べるのはもちろん、未熟果をマンゴー・アチャール(酸っぱく辛い、スパイシーなインドの漬物)や、マンゴー・チャツネ(箸休めのジャムのようなもの)、アムチュール・パウダー(乾燥させ粉末にした調味料で、強い酸味があり「インドの梅干」とも呼ばれる)などに加工します。一般の人々の間ではマンゴーの収穫量が多い年は縁起がよいといわれています。
またマンゴーはすべての部分に医薬的価値があり、医学的分野においても重要な位置を占めてきました。

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