ヴァラダラージャ神と<インドボダイジュ(イチジク)>2/3
■ヴァラドラージャ・ペルマール寺院
位置:インド タミル・ナードゥ州 カンチープラムの郊外
敷地:93,000 ㎡
建築:古代の建築スタイル・ヴィシュワカルマ・スタパティ
意味:ヴァラド:最高の利益を与える ラージャ:王
※南インドのヴァイシュナヴァ派(ヴィシュヌ派)3大聖地のひとつ
※11世紀のヴァイシュナヴァ派の学匠・ラーマ―ヌジャが住んでいたとされる寺院
■祝祭:Athi Varadhar
聖なるイチジクの木から創られた、9フィート(約2.8m)のヴァラドラージャのご神像は、ヴァラドラージャ・ペルマール寺院の池の中に保管されています。

40年に1回、1マンダラの期間(48日間)だけ、そのご神像が池から取り出され、ダルシャン(謁見)に与かることができます。この極めて重要な宗教儀式の祝祭をAthi Varadhar(アティ・ヴァラダァール)と呼びます。
※Athi:タミル語 イチジク(繁栄を獲得し、敵を征服する木)
※Varadhar:タミル語 恩恵を与える者
※Perumal;ヴィシュヌ神

●歴史
16世紀まで、イチジクの木で創られたアティ・ヴァラダァール(オリジナルのご神像)は、神殿の聖域に祀られていたました。しかしムスリムの侵略から逃れるため、司祭らと寺院の権威者らによって、寺院の池の中に隠すことが決まりました。そして代わりの、ヴァラダラージャ・ペルマールのご神像が、寺院に祀られました。
銀の棺におさめたアティ・ヴァラダァールは池に隠されましたが、場所の秘密を握る2人のサンニャーシ―(放棄者)が亡くなったため、このことは忘れ去られました。1709年、池の水を抜いた時に棺が発見され、寺院の権威者らは、40年に一度48日間だけ、こちらのご神像を一般公開することに決めました。
●伝説
ブラフマー神によるアティ・ヴァラダァールの崇拝が続きましたが、ある日、ヤギャ(供儀)の火が、ご神体のイチジクの木に触れてしまいました。ブラフマー神は、アティ・ヴァラダァールに改善策を尋ねると、ご自分をアナンタ・シェーシャ(ヴィシュヌ神が横たわる蛇の王)と一緒に湖に沈めるよう指示しました。以降、アティ・ヴァラダァールは池の中におられます。
またこのときアティ・ヴァラダァールは、他の者たちもご自分を崇拝できる機会を与えるようブラフマー神に指示し、40年に1回1マンダラの期間(48日間)だけ、献身者がダルシャン(謁見)に与れることになりました。