シヴァ、クリシュナと<聖木ジャンブ> 4/4

■ヒンディー語;ヴェンナーヴァル
サンスクリット語;ジャンブ

※神話に登場した聖木ジャンブは、フトモモ科フトモモ属の常緑高木で、学名は Syzygium cuminiと思われます。果実は長円形~卵形。果実は薄緑色から、成熟するにつれてピンク色に、輝く深紅色に、最後に黒い色に変化します。木の変種は白い色の果物を実らせます。果実は甘くマイルドな酸味があります。

インドでは古くから民間療法に利用されてきた

■ジャムブーの大樹
『ヴィシュヌ・プラーナ』の世界観によれば、空間の中心部分には7つの世界が層になって存在します。このうち地上にあるブールは7つの洲と7つの海により成り、その中心にあるのが人間の住むジャムブドヴィーバ(閻浮提洲)と呼ばれています。この洲の中心にあるメール山の周囲には4つの山があり、それぞれの山頂にはカダムバ、ピッパラ、ジャムブー、ヴァダという大樹があり、ジャムブドヴィーバという名もこの木の名から出たといいます。
漢訳仏典名は閻部樹(エンブ樹)であり、ジャムブーの音訳。仏教的世界観ではシュメール山(須弥山)の閻部提(エンブダイ)に茂る植物とされます。

■インドでは、クリシュナ神の肌の色と同じ黒いジャンブの実を、クリシュナ神に捧げます。クリシュナ神の御足は宇宙のすべての真理をあらわしていて、足の裏に様々な印があります。右足のかかとに刻まれた4つのジャンブの実は、ジャムブドヴィーバに住むすべての人々にとって、クリシュナ神の御足が唯一の崇拝すべき対象であることを象徴しています。