インドのヴェジジタリアンのご馳走“パニール”

インドのヴェジタリアンとって“パニール(フレッシュチーズ)”は、食事のメニューを豊かにしてくれる重要な植物性たんぱく源です。アーユルヴェーダでは、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品は重い質をもつとされますが、作りたてのパニールは軽い質のサットヴィック(純粋な)フードであるといわれています。インドでは山盛りに積まれた量り売りのパニールを、道端で気軽に買うことができます。
このパニールは、豆腐作りと似ています。豆腐作りの材料は、牛乳の代わりに豆乳を、レモン汁の代わりににがりを使いますが、製法はほぼ同じ。豆腐は、モンゴル人が作っていたパニールの製法を中国人が豆乳で応用して作ったといわれています。豆腐は大豆から豆乳を作るところから始まりますが、牛乳から作るパニールはもっと簡単に作れます。日本でも牛の初乳に酢を加えて作った“牛乳豆腐”をしょうゆでいただきますね。

パニールはインド料理の他にも、カッテージチーズを使う要領で、パスタ、ピザ、野菜のオーブン焼き、サラダなどにトッピングできます。炒めたり、煮込み料理に加えても美味しくいただけます。
また、重石をして固めて切ったパニールも様々な料理に使えます。パニールの角切りをギー(精製バター)で揚げた具をインドスパイスで煮込んだカレーは、インドのヴェジタリアンにとってのご馳走です!

揚げたパニールのインドスパイスカレー

■パニール
材料
新鮮な牛乳・・・・・・・・・・・・2リットル
レモン汁・・・・・・・・・・・・・大さじ4~5

作り方
 厚手の鍋に牛乳を入れて、弱めの中火にかける。※牛乳が焦げないように、吹きこぼれないように注意します。
 沸騰する直前に弱火にし、レモン汁を加減しながら加え、木杓子で軽くひと混ぜする。※レモン汁が多すぎると酸味が強くなり、少なすぎるとうまく固まりません。
 そのままそっと1~2分くらい煮る。※固形分“カード”と澄んだ液体分“ホエイ”に分離してきます。ホエイが濁っているときは、火を強めてもう少しレモン汁を加えます。
 十分に分離したら火を止め、ガーゼやさらしを敷いたザルにあけ、水道水でさっとゆすぐ。※残ったホエイは野菜料理、スープ、パンやクッキーの生地などに使えます。そのまま砂糖か塩を加えて飲んでもよいし、植木の肥料にしてもよいでしょう。
 出来上がったパニールは料理に応じて水きりをする。※やわらかいまま使う場合は、ザルに入れてそのまま10分ほどおきます。固めて使う場合は、ひとかたまりに四角くまとめてガーゼで包み、ザルに入れて重石(水を入れたボウル)をし、15分ほどおきます。

★牛乳1リットルにつき生クリーム1カップを加えて同じ要領で作ると、優しい味わいになり、出来上がりの量も増えます。
★自家製ヨーグルトがある場合は、1リットルの牛乳が沸騰したら半カップのフレッシュなヨーグルトを加えて再び沸騰させてから、同じ要領で作ります。レモン汁は少なめに加減してください。

パニールを煮込んだスパイスカレー
パニールといんげんのカレー
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