ハヌマーンと<トゥルシー>3/5

■『アナンタマンガラム・アンジャネーヤ(ハヌマーン)寺院』に伝わる神話の詳細をご紹介します。


ランカー(現在のスリランカ島)での戦闘で、ラーマがカンタアストラ(インドラ神から授かった棘の弓)を放ち、羅刹王ラーヴァナの十の首を刎ねました。

ラーヴァナの十の頭は、6つの悪徳(欲望・怒り・貪欲・うぬぼれ・おごり・嫉妬)とマナス(マインド)、ブッディ(知性)、チッタ(限界のある意識)、アハンカーラ(エゴ)を象徴しています。
ラーヴァナは4つのヴェーダ(インドの古代聖典の叡智)と6つのシャーストラ(文献)のすべて熟知していたのにもかかわらず、実践をしなかったため、その恩恵を得ることができませんでした。

羅刹王ラーヴァナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ラーヴァナの死後、ラーマはシーター、ラクシュマナ、ハヌマーンを伴い、帰途につきました。途中、聖仙バラドワージャの庵に立ち寄り、温かいおもてなしの食事と休憩を取っていると、聖仙ナーラダがやって来ました。ラーマがナーラダに祈りを捧げ、ナーラダはラーマに祝福を与えました。ナーラダは言います。


「ラーヴァナが死に、ランカーでの戦争は終わった。しかし、復讐の誓いを立てたアスラ(悪魔)の子孫たちが生き延びている。ラクタ・ ビンドゥとラクタ・ラクシャガンの2人が、海中で瞑想の苦行を積んでいる。この者たちが苦行を全うすれば、世界を破壊するだけの力を得るであろう。この2人を直ちに殺さなければならない。それができるのは、ラーマおまえだけだ」

しかし、ラーマは、「バラタ王と交わした約束を守るため、アヨーディヤーへの帰りを遅らせるわけにはいきません。王が身を投じる火を用意しています」と答えました。

14年前、バラタ王は、ラーマが14年間の森への追放期限を満了した後、もしもラーマがアヨーディヤーへ戻らなければ、自分は命を絶つ、という誓いを立てました。そしてラーマは、必ず戻ると約束したのでした。(続く)

ラーマ神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』