ガネーシャ神像と奇跡の聖木<ヴェル・エルック>3/3

太古の時代、神々が奇跡の力であらゆる病を癒したといわれる
神秘の木<ヴェル・エルック>

タミル名 Vellurukku  ヴェル・エルック
サンスクリット名:Arka ,Ak

学名:Calotropis Gigantea
英名: Crown flower
和名:アコン
科:ガガイモ科
原産地:インド

高さ50㎝~2.5mの亜熱帯性常緑低木で、薄紫色の花を咲かせます。卵形の実が熟すと二つに割れ、細かい綿毛に包まれた種子が出てきます。この綿毛を詰めた枕は、安眠を導いてくれます。

アーユルヴェーダ(インドの伝承医学)では、Aak(アーク)と呼ばれます。種々の痛みや毒消しに全草が利用され、神話にもあるとおり、ハンセン病の治療薬としても名高いのですが、毒性がありますので、必ず医師の処方が必要です。

インドでは、太陽神スーリアを主祭神とするプージャ(奉納儀式)には、ヴェル・エルックの花を捧げる、という伝統があります。また、ガネーシャ・チャトゥルティ(ガネーシャ神の生誕祭)で捧げるべき21種類の植物の葉のうちのひとつが、ヴェル・エルックとされます。経典『ガネーシャ・プラーナ』には、女神トゥルシーとガネーシャ神が諍いのため呪い合ったことが記述されています。そのため、通常、トゥルシー(ホーリーバジル)をガネーシャ神に捧げることはありませんが、ガネーシャ・チャトゥルティだけは例外で、21種類の葉のひとつとして、トゥルシーの葉がガネーシャ神に捧げられます。ハヌマーン神(猿の姿をした献身の神様)のプージャにも、この花と葉が捧げられます。

茎葉から分泌される毒性のある乳液は、皮膚に触れると炎症を起こしたり、目に触れると失明の原因になりますので、神々に捧げるガーランド(花環の首飾り)を作るときには、厳重な注意が必要です。昔インド人は、この乳液を毒矢に使用していました。ヴェル・エルックで作った香り高いガーランドは、毒のある花を好まれるシヴァ神(破壊を司る神)に捧げ、社会の平安と繁栄を祈る風習があります。しかし、ヴィシュヌ神(維持を司る神)の寺院ではこの花を捧げることはありません。

花びらの開いた様子が王冠に似ていることから、英語ではクラウン・フラワーといいます。
南インド:9つの惑星の神々に捧げられたガーランド(花輪)
ハワイのヘイアウ(聖域):祭壇に捧げられた花や貝などのレイ

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