ガネーシャ神像と奇跡の聖木<ヴェル・エルック>1/3

9つの惑星の神々へ捧げる9種類の穀物、豆、種子

インド神話◆ 9つの惑星の神々

太古の時代、重いハンセン病に苦しむ聖者カラヴァは、9つの惑星の神々に祈りを捧げ、よろこばれた神々から、望み通りの治癒を授かることができました。すると創造主ブラフマーは、9つの惑星の神々がシヴァ神(破壊を司る神)の赦しを得ることなくカルマ(因果応報)の法則を破り、勝手にカラヴァの罪を帳消しにしたことに怒り、逆にハンセン病の呪いを神々にかけたのです。

ブラフマー神は、呪いにより病んだ神々を地上の<ヴェル・エルック>の木の茂みへと落とし、週一度のヨーグルトライス以外は何も口にしてはならない、という罰を与えました。

神々はカーヴェリ―川で夜明け前に沐浴し、ヴェーダ(インド最古の文献・知識という意味)を吟唱するなど、贖罪の供儀に励みました。

78日後、シヴァ神が神々の前に現れて呪いを解き、「おまえたちそれぞれに住む場所(寺院)を与えよう。 艱難辛苦に耐えながら礼拝にやってくる者たちに、恩寵を与えてやりなさい」と命じられました。

このインド神話に登場する惑星の寺院が、今日のクンバコーナムに点在する、ナヴァグラハ・テンプルズ(9つの惑星の寺院)です。 

■クンバコーナム:チョーラ朝(9世紀から13世紀にかけて、南インドを支配したタミル系のヒンドゥー王朝)の古都。現在のクンバコーナムの街は、ドラヴィダ式ヒンドゥー寺院の主要な門前町の一つで、純粋なヒンドゥー文化が色濃く残ります。
■クンバコーナムは、数学史上、不滅の天才といわれるシュリニヴァーサ・ラマヌジャン(1887~1920)の出身地としても名を馳せます。バラモン(インドのカースト制度の頂点に位置するバラモン教やヒンドゥー教の司祭階級の総称)の生まれであるラマヌジャンは、ヴィシュヌ神(維持を司る神)の化身ナラシンハの神妃ナマギーリを生涯にわたり信仰。「神についての思索を表現しない方程式は僕にとって無価値である」と語り、極めて直感的、天才的、神がかり的な閃きにより、「インドの魔術師」の異名を取りました。

(2/3 へ続く

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