ブラフマー神と<ココナッツ>と<ケータキーの花>1/5
南インドはタミル・ナードゥ州のクンバコーナムには、インドでも稀有な創造主ブラフマーの寺院があります。
『ダルマ(法・美徳・正義)が廃れ、悪が栄えるとき、わたしは世界のすべてを破壊する。そのとき、創造主ブラフマーがわたしの山(ヒマラヤ)の頂に置いたクンバム(甘露の壺)は、聖なる地に流れ着くだろう……』
太古の時代、シヴァ神が行なった予言です。
今からおよそ5000年前、シヴァ神の意を受けたブラフマー神は、土とアムリタ(甘露)を用いて生命を繋ぐ壺を作りました。聖なる紐を巻き、美しく装飾された金の壺はアムリタとヴェーダ の詩句で満たされ、壺の口には新鮮な葉のついたマンゴーの小枝が刺さっています。この上に<ココナッツ>をのせてヒマラヤの頂に祀り、 『世界の破壊から生命が守られますように』と祈りを込めたプージャ(奉納儀式)が、シヴァ神に捧げられました。
やがて、未曾有の大洪水が起こり、カリ・ユガ(暗黒の時代)が始まったとき、創造主のクンバムは海原を南下し、漂着したのが現在のクンバコーナムです。 シヴァ神が矢を放ちクンバムを砕くと、そこから流れ出た甘露は予言どおり大池となり、四散した万物の種子は寺院となりました。
クンバコーナムにはインドでも稀有なブラフマー神の寺院(Sri Brahmma temple)があり、 世界を再び構築したブラフマー神の栄光が称えられています。