ブラフマー神と<ココナッツ>と<ケータキーの花>2/5

ココヤシ
サンスクリット名:Na()rikela
ヒンディー名:Na()riyal
和名:ココヤシ, ヤシ
学名:Cocos nucifera
英名:Coconut Palm
科:ヤシ科  

◆ココナッツ(ヤシの実)
ココヤシの果実であるココナッツ。インドの露天で売っている未熟の青いヤシの実のジュース(液状胚乳)は、旅人にも安全な水分補給源となります。

露店では、ナイフで上部を削って素早く穴をあけ、ストローをさしてくれる
青臭く生あったかいが、ほんのりと甘くさっぱりとした味わい
実が熟しかけていれば、内果皮の周縁部に白いゼリー状の固形胚乳がつき、こそげ取って食べる

ヤシの実は、サンスクリット語でシュリ―・パラ(美しい幸運の実/神の果実)とも呼ばれ、ヒンドゥーの宗教儀式に欠かせません。「神」を象徴する唯一の聖なる果実とされます。
ベンガル地方や南インドでは、ココナッツにサンダルウッド(白檀)やターメリック(ウコン)、クムクム(ウコン、ミョウバン、石灰から作る赤い粉)のペーストなどで彩色模様を施し、花や葉を刺した聖なるクンバム(水壺)の上に置いて、女神の象徴として、祭壇に祀ります。
ベンガル地方では、女神の壺の浄めの水で沐浴することで、不妊の女性にも子が授かると信じられています。

世界の安寧を祈る大ホーマ(護摩)に使用されるクンバム。司祭は事前に1週間以上に渡り、ヴェーダのマントラ(真言)を唱えてヤギャ(炎の儀式)やホーマ(護摩)を執り行い、聖なる河の水で満たしたクンバムに、神々のすべての神聖な力を移す。
聖水をご神像に注ぐアビシェーカム(灌頂)
寺院の落慶式
※やぐらを組んだ神殿の塔の上から、寺院に聖水を注ぐアビシェーカム(灌頂)
南インドでは、膨大な量のココナッツを使う
婚姻の儀
新築祝いの儀

また、巡礼や重要な行事の開始に際しては、献納の意味で必ず、地面に叩きつけるココナッツ割りの儀式が行われます。例えばラタヤトラ(山車にお乗せしたご神像が街中を練り歩く祝祭)では、ココナッツを地面に叩きつけて割り、そのジュースを街中にまき散らすことで、浄めとします。
ココナッツを割ることは、自我(エゴ)を壊し、神前で謙虚になることを象徴します。自我と無知の殻が砕かれ、ココナッツの白い部分があらわす内なる平和と知識への道を開きます。

<続く>
ブラフマー神と<ココナッツ>と<ケータキーの花>3/5

comment

メールアドレスが公開されることはありません。